ダイヤフラムポンプ基礎知識

ポンプの分類 ポンプの種類は非常に多く、分類方法も様々です。 ここでは、遠心ポンプと容積式ポンプに分けて考えてみます。

ポンプの分類

1)遠心ポンプ
ポンプ内の羽根車やプロペラが回り、発生する遠心力や推進力によって液体を吐出します。連続的に吸引と吐出を繰り返すことが出来、比較的大容量に液体を移送できます。

2)容積式ポンプ
容積式ポンプは、大きく分けると回転式と往復運動式に分類できます。
回転式は、容積変化による吸込みと吐出を連続的に行う、脈動の少ないポンプです。 主に高粘度液で優れた性能を発揮します。
往復運動式は、吸入と吐出を繰り返し行う有脈動タイプのポンプです。 主に低粘度の薬品や、デリケートな液体の定量注入に性能を発揮します。

ダイヤフラムポンプの基礎知識
ダイヤフラムポンプは、液の流路にダイヤフラムを用いて容積変化させることで、液の流れを発生させる 容積式ポンプの一種です。
容積変化するダイヤフラムの前後に、逆支弁を設けることで、「吸込み工程」と「吐出工程」が、一方方向に液の流れを保ちポンプとしての機能を持たせます。ダイヤフラムポンプの特徴異物混入が無いダイヤフラムポンプには、他の回転式ポンプの構造にある回転軸のシール部や摺動部が無く、異物混入の危険性や、液漏れトラブルの発生が少ないポンプです。

ダイヤフラムポンプの構造

空運転OK
摺動部が無いダイヤフラムポンプは、シール部の磨耗や焼き付きの心配がありません。 現場での運転ミスにより、トラブルを最小限に止めることが出来ます。
幅広い薬品に対応
接液部(ポンプ部)と駆動部が独立構造であるダイヤフラムポンプは、接液部の材質の変更により、 様々な液体に対応することが出来ます。
優れた定量性
容積式ポンプのダイヤフラムポンプは、配管内の圧力変化にも優れた定量性を発揮し、 さらに逆支弁の採用により低粘度液の移送は、他のポンプ方式よりも更に優れた定量性を発揮する。
優れたメンテナンス性
ダイヤフラムと逆支弁というシンプルな構成なため、消耗品が少なく簡単に整備出来るという長所を 持ち合わせたポンプです。

Q&A

Q.ダイヤフラムポンプの脈動って何?
A. モータ駆動式のダイヤフラムポンプは、モータの回転をカムやクランクで往復運動に変換するため、吸込と吐出は下図のサインカーブを繰り返しながら、送液を行います。そのため、吐出ムラや慣性抵抗への配慮が必要になります。

ダイヤフラムポンプ 脈動

Q.キャビテーションって何?
A. ポンプや配管内の脈動による急激な圧力変化が、液体の沸点を下げ、気体を発生させる(液体が沸騰する)現象です。 キャビテーション発生時は、ポンプに多大な負荷が掛かっている状態で、本来の正常な送液が出来ないだけなく、ポンプの寿命を縮めたり、振動による配管の破損等の悪影響を与えます。 対策としては、サクション側配管を太く・短くするのが効果的です。

Q. サイホン現象とは?
A.ポンプ吐出側の配管注入点が、タンクの液面より低い場合、薬注ポンプが停止しているにも関わらず、液が流れ出る現象です。 サイホン防止弁や、背圧弁を注入点に取り付けることで、この現象は収まります。

サイホン現象

Q.ガスロックとは?
A. ポンプ室内の気体が、ダイヤフラムの容積変化に追従してしまい、ポンプが液を移送できなくなる状態です。エア抜き作業により解消できます。

ダイヤフラムポンプ ガスロック

Q.オーバーフィード現象とは?
A. 有脈動ポンプの吐出工程が終了したとき、吐出側配管内の液体の慣性力により、吸込み工程でも液の流れが止まらず、定格よりも流量が遥かに多くなる現象です。配管が、細くて長いほど発生し易くなります。

 

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